調査実施の概要

  • 目的:かねてから“住宅計画の発案・推進役は女性”、“住宅へのこだわりは、家にいる時間の長い女性の方が強い”など、住宅計画における女性の影響力の大きさが言われてきた。本調査は、住宅計画における女性の役割や影響力の実態を把握し、“女性来場者へどうアプローチしていけば良いのか”の参考とすることを目的として実施した。
  • 内容:回答者のプロフィール、総合住宅展示場について、住宅に関する情報収集について、住宅計画について、住意識と親子同居について、住宅性能表示制度について。
  • 対象者:関東地区、中部地区及び近畿地区に所在する総合住宅展示場を訪れた20歳以上の女性来場者(一世帯1人対象)。
  • 方法:上記対象者に総合住宅展示場への来場時にアンケートを依頼し、帰宅後に直接記入していただき、後日郵送にて回収。
  • アンケート依頼数:約1,690票
  • アンケート総回収数:770票、内、有効回収数:750票 (有効回収率 約44.4%)
  • スケジュール:アンケート依頼期間2005年9月17日〜9月19日 (調査票の回収が予想をはるかに上回ったため、配布は3日間で打ち切り)、回収期間2005年9月20日〜10月24日、集計期間2005年11月2日〜11月14日、分析期間2005年11月15日〜12月6日
  • 調査主体:住宅生産振興財団、住宅展示場協議会

調査結果の特徴と要約

総合住宅展示場を訪れた女性来場者の特徴は以下のように整理できる。

  1. 女性来場者=主婦である
     女性来場者の94%は既婚者であり、同じく92%は世帯主の妻である。したがって、今回の調査対象者である20歳以上の女性とは、イコール主婦と言っても過言でない。
  2. 家事と子育てに専念する30代の専業主婦が中心
     回答者である女性の年齢は30代が圧倒的に多く、子供は幼児や未就学児で、家事と子育てに専念している専業主婦が中心である。
  3. 世帯年収は高く、住宅資金の貯蓄者が非常に多い
     20・30代の若い主婦が中心であるが世帯年収は高く、すでに住宅資金を目的に貯蓄をしている人が全来場者の57%に上っている。この点からは住宅需要者としての資質は高い。
  4. 子供を中心とした家族コミュニケーション重視の家づくりを指向
     展示場へは子供と一緒に来場している主婦が圧倒的に多く、家作りにおいても、自分自身や夫婦の生活よりも子供を中心としたコミュニティ重視の家づくりを目指している人が多い。
  5. 住宅展示場の集客ターゲットは主婦である
     展示場への訪問を言い出したのは主婦が多く(ご主人の2倍以上)、どのモデルハウスに入って見学するかを決めたのも主婦が多い(ご主人の2倍近い)。したがって、展示場訪問のキッカケと内覧するモデルハウスは、主婦主導のもとに決定されている。正に住宅展示場の集客ターゲットは主婦である 。
  6. 中の様子を伺い知ることのできないモデルハウスに入るのは躊躇する
     「中に入りやすい・入りにくいモデルハウスがある」と感じている女性は64%に上っている。また、中に入りにくいモデルハウスは、営業マンが待ち構えていることと、中の様子が見えないことの2点が大きな理由である。女性に中まで入ってもらうためには、安心して気軽に入れる雰囲気づくりが大切である。
  7. まず親に相談し、新築経験者から知識やアイデアを
     住宅計画を進めるために、親や新築経験者に相談している女性は5割近くに上っている。比較するデータがないので断定できないが、住宅計画が初期段階にある来場者が過半数を占めることを考慮すると、この数値は相当高いものと推察される。女性来場者の1つの特徴と言えよう。
  8. 住宅計画の発案・推進役は主婦、最終決断者はご主人
      住宅計画を発案し、中心となって情報収集をするのは主婦、また、住まいに対して強いこだわりを持ち、その実現を強く望んでいるのも主婦である。しかし、最終決断を下すのはご主人が圧倒的に多い。住宅計画の推進役としての主婦の役割は大きいが、最終的には、ご主人に1歩も2歩も譲っている(夫婦で協力しあっている)のが実態である。こうした中で、「家づくりは女性が中心となって進めるべき」と考えている女性は37%に留まっている
  9. 住宅設計の関心事は「住宅設備・インテリア・収納」に集中
      女性来場者の関心が高いのは、住宅設備・インテリア・収納に関する設計アイテムに集中しており、建物の構造・躯体及び居室や趣味等に関するアイテムへの関心度は低い。住宅設計の関心テーマも、主婦とご主人とで住み分けができているようである

A.回答者のプロフィール

  • 回答者の年齢:30代(50%)を中心に、50歳未満が84%
  • 回答者の職業:常勤有職者19%、パート・アルバイト27%、専業主婦53%
  • 家族構成:核家族が68%と圧倒的に多く、幼児・未就学児(50%)を持つ世帯が多いのが特徴
  • 現住居の内容:持家47%、借家46%、親又は子供の持家に同居6%。持家の取得方法は、自分で購入67%、親族から相続・相続予定28%
  • 世帯年収:500万円未満30%、〜1,000万円未満56%、1,000万円以上13%の割合で平均704万円。この内、回答者(女性)の年収は平均172万円
  • 貯蓄と目的:貯蓄実践者が89%。貯蓄の目的では「住宅資金」(65%)が最多

B.総合住宅展示場について

  • 訪問経験:訪問箇所数は1〜3ヶ所を中心に平均2.5ヶ所。訪問回数は2〜6回を中心に平均5.6回
  • 訪問発案者:今回の訪問を言い出したのは回答者自身(46%)が、ご主人(22%)を大きく上回っている
  • 訪問の同行者:子供と一緒に55%、夫婦2人で23%
  • 訪問の動機:イベントがあったので41%、広告を見たので38%が2大動機
  • 訪問の目的:訪問目的は千差万別で多数の目的に分散
  • 絞り込み状況:見たいと思うモデルハウスを絞り込んで来場した人は42%
  • 内覧した棟数:3棟を最多に平均3.4棟
  • 注目ポイント:間取り60%、外観デザイン56%、収納スペース51%がベスト3
  • 内覧決定者:女性(回答者)55%、ご主人30%、子供6%など
  • 入りにくいモデルハウス:「入りにくいモデルハウスがある」が64%。入りにくい理由としては「営業マンが待ち構えていること」(57%)が最多
  • 適任営業マン:知識が豊富な人64%、こちらの立場にたって話しを進めてくれる人52%、清潔感のある人45%がベスト3
  • 観覧の参考度:参考になったが87%と圧倒的
  • 展示場への要望:現実的な規模のモデルハウス(67%)、価格・価格内容の表示(35%)を求める人が多い

C.住宅に関する情報収集について

  • 住情報参考媒体:住宅展示場74%、折込チラシ59%、住宅専門誌43%がベスト3
  • 相談相手:プロ以外での相談者としては、新築経験のある友人・知人(46%)と、親(45%)が多い
  • 関心ある情報:間取り・設計情報55%、家づくり基礎知識53%、欠陥住宅・トラブル情報50%がベスト3
  • ネット情報:利用経験のある世帯が55%。利用者は夫婦2人ともが圧倒的

D.住宅計画について

  • 計画の進行段階:初期段階56%、具体的検討段階38%、契約・購入済6%
  • 実現予定時期:1年以内18%、〜2年以内18%、2年以上先・未定58%
  • 計画の推進者:住宅計画の発案、こだわり、情報収集などは女性、最終決断者は男性が中心
  • 住宅計画動機:現住宅に不満42%、借家なので40%、子供の成長33%がベスト3
  • 住宅計画形態:建て替え18%、買い替え12%、新規建築36%、リフォーム10%
  • 土地の用意:ある54%、ない46%
  • 建物構造・工法:木造軸組住宅28%、プレハブ住宅19%、ツーバィフォー住宅11%、未定42%
  • 建物面積:平均建物面積39坪
  • 建築予算:平均建築予算2,335万円
  • 坪単価:平均坪単価48万円
  • 資金計画:全額自己資金9%、自己資金中心23%、借入れ中心38%、未定29%
  • 購入予定先:展示場出展会社42%、他の住宅会社・工務店7%、未定52%
  • 検討ポイント:会社の実績・信頼性50%、建物の品質・性能45%、建物の構造・工法40%がベスト3

E.住意識と親子同居について

  • 家づくりの見解:女性来場者は、自分の意見やこだわりをはっきり持っており、家族コミュニティ重視者が多い。但し、女性中心の家づくりに関しては意見が分かれている
  • 設計関わり意向:女性が中心となって関わっていきたいのは、キッチン・ダイニングルーム、収納スペース、浴室・洗面所の3部位
  • 住宅設計関心度:関心度が特に高いのは、バリアフリー、大型収納スペース、ホームセキュリティシステムの3項目で、上記住宅タイプと同結果
  • 両親との同居:同居派27%、別居派37%、未定派32%
  • 子供との同居:同居派18%、別居派11%、未定派58%

F.住宅性能表示制度について

  • 認知度:名称認知者48%、内、内容認知者21%
  • 利用意向:利用意向者34%、非利用意向者7%、わからない59%
  • 防犯性能:防犯性能が追加されることへの関心度は、関心がある82%、関心がない18%