50・60代の住宅意識に関するアンケート調査報告(Web版)
魅力ある需要者でることをあらためて検証


調査実施の概要

  • 目的:団魂ジュニアを含む20・30代が住宅市場の主役となりつつある一方で、団魂世代を中心とする50・60代の住宅展示場来場者が増加傾向を示している。しかし、この世代の住宅需要の実態を明確に把握した調査は見当たらない。そこで本調査では、50・60代の住宅展示場来場者にスポットをあて、ライフステージやライフスタイルも含めて、住宅需要者としての質を見極めることを目的として実施した。
  • 内容:回答者像、総合住宅展示場について、住宅計画について、指向する住宅と親子同居について、住宅性能表示制度について。
  • 対象者:北海道、関東地区、中部地区及び近畿地区に所在する総合住宅展示場へ来場した50代と60代の来場者(一世帯1人対象)。
  • 方法:上記対象者にアンケートを実施、後日郵送回収。
  • 調査依頼数:アンケート配布数1,722票(うち有効回答511票:有効回収率29.7%)
  • スケジュール:配布期間2004年9月18日〜10月17日、回収期間2004年9月21日〜10月29日
  • 調査主体:住宅生産振興財団、住宅展示場協議会

調査結果の特徴と要約

総合住宅展示場を訪れた50・60代来場者の特徴は次のように整理できる。

  1. 魅力ある消費者としての資質は高い
     すでに3人に1人はリタイアしているが、世帯年収は高く、貯蓄をしている人が圧倒的に多い。しかも、貯蓄の目的は老後の生活資金や不時の備えはもとより、レジャー資金や住宅資金にも及んでいる人が多数である。“高収入で、蓄えも十分、時間もある”……こんな魅力ある消費者が多い。
  2. 持家比率が極めて高く、建て替えとリフォーム需要が多い
     現住宅は一戸建を中心に持家が85%を占めている。現持家は新築後20年以上を経過している場合が半数を占め、不満を感じている人が85%にも及んでいる。結果として住宅需要は、建て替えを中心にリフォーム計画者が多いのが目立つ。50・60代来場者の住宅計画は、現在住んでいる持家をどうするか、という所からスタートしている。
  3. 50・60代はダイレクトな住宅需要者である
     50・60代来場者の61%は子供と一緒に暮らしている核家族と二世代・三世代世帯である。また、子供はすでに社会人や既婚というケースが70%を占めている。しかし住宅計画を中心となって進めているのは回答者自身(回答者夫婦)が圧倒的に多く、回答者が直接住宅計画に係っている場合が85%に及んでいる。したがって50・60代の来場者は、リタイア層も含めてダイレクトな住宅需要者である。
  4. 人生2回目の住宅取得挑戦者が約7割を占める
     50・60代来場者の68%は、自らが過去に住宅を購入したことのある住宅購入経験者である。したがって、これらの来場者にとって今回の住宅計画は、人生2回目の挑戦であり、このことが50・60代来場者の大きな特徴となっている。
  5. アクティブな生活を送っているが、ファミリー度はいまいち
     趣味や旅行に積極的に出かけ、親しい友人も多く、日頃の生活には充実感を感じている。しかも、若い頃よりも今の方が楽しいと感じており、若い世代以上に人生を謳歌しているようである。
    一方、家族生活をみると、夫婦で買物に出かけ、よく会話もするが、家庭のことは妻まかせのようであり、家族重視度となると20・30代よりも劣っている。
  6. 住宅指向のキーワードは、“安心・安全・ゆとり・くつろぎ”
     50・60代来場者に関心が高いのは、バリアフリー設計、大型収納スペース、ホームセキュリティシステム、床の間付き和室、お風呂をくつろぎや健康空間に、など。
    住宅指向に関する質問結果をみると、50・60代の方々の住宅指向は“安心・安全に暮らせる住まい”及び“ゆとりとくつろぎが得られる住まい”にあるようだ。
  7. 資金計画は極めて健全
     全額自己資金で賄う予定者が30%、自己資金を中心に一部借入金を予定している人が28%と、未定者を除くと、この両計画者が具体的な計画回答者の75%を占める。50・60代の来場者は経済的にゆとりがあり、資金計画は極めて健全である。

A.回答者のプロフィール

  • 回答者の年齢:50代が62%、60代が38%
  • 世帯主の職業:常勤有職者は66%。この人々の職業は会社員56%、会社員以外43%
  • 家族構成:夫婦のみ31%、核家族42%、二世代・三世代世帯19%
  • 現住居の内容:持家87%、非持家12%。持家の78%は自分で購入した住宅
  • 世帯年収:500万円未満26%、1,000万円未満43%、1,000万円以上27%、平均842万円
  • 貯蓄と資産運用:貯蓄実践者は89%。資産運用実践者は39%
  • 生活意識:トップアクティブ派25%、ミドルアクティブ派42%、ノンアクティブ派33%
  • ファミリー度:トップファミリー派13%、ミドルファミリー派42%、ノンファミリー派45%

B.総合住宅展示場について

  • 訪問経験:訪問箇所数は1〜3ヶ所を中心に平均2.6ヶ所。訪問回数は2〜6回を中心に平均5.4回。最初に訪問したのは3年以上前が39%と多い
  • 訪問の同行者:夫婦2人で43%、自分1人で22%、子供と一緒に17%
  • 訪問の動機:広告を見たので、イベントがあったので、見たいモデルハウスがあったので、などが中心
  • 訪問の目的:訪問目的は千差万別で多数の目的に分散
  • 絞り込み状況:見たいと思うモデルハウスを絞り込んで来場した人は42%
  • 内覧した棟数:2〜3棟を中心に平均3.1棟
  • 観覧の参考度:参考になったが89%、参考にならなかったは1%のみ
  • 展示場への要望:現実的な規模のモデルハウス(61%)、価格・価格内容の表示(42%)、 躯体内部の公開(31%)が要望のベスト3
  • 住情報参考媒体:住宅展示場(モデルハウス)が67%でトップ、折込チラシ、新聞が40%台で第2グループ

C.住宅計画について

  • 計画の進行段階:初期段階61%、具体的検討段階36%、契約・購入済3%
  • 実現予定時期:1年以内14%、2年以内12%、2年以上先・未定71%
  • 計画の推進者:自分自身(67%)を中心に、自分(回答者)が住宅計画に係っているケースが85%
  • 住宅計画動機:現住宅に不満38%、家族構成の変化28%、より良い住宅24%など
  • 住宅計画形態:建て替え38%、買い替え16%、新規建築8%、リフォーム15%
  • 住宅利用形態:一世帯単独の専用住宅42%、二世帯同居の専用住宅37%
  • リフォーム検討:現在検討中23%、過去に検討・現在非検討41%、全く非検討36%
  • 土地の用意:ある78%、ない22%。土地の所有形態は、自分で購入した土地61%、親族から相続(相続予定)の土地38%
  • 建物構造・工法:木造軸組住宅36%、プレハブ住宅24%、ツーバィフォー住宅10%。建物階数は2階建67%、3階建13%
  • 建物面積:30坪台(32%)を最多に平均38.5坪
  • 建築予算:2,000万円未満33%、2,000万円台31%、3,000万円以上17%、平均2,414万円
  • 坪単価:50万円台(23%)を最多に平均50.3万円
  • 資金計画:全額自己資金30%、自己資金中心28%、借入金中心19%。自己資金としては預貯金が圧倒的に多く、借入金は公庫・銀行など
  • 購入予定先:住宅展示場出展メーカー43%と、未定50%に二分
  • 重視ポイント:住宅会社検討の際の重視ポイントは、建物の品質・性能(50%)と、建物の構造・工法(48%)が特に多い

D.指向する住宅と親子同居について

  • 住宅タイプ:支持率が特に高いのは、バリアフリー(92%)と、泥棒が入りにくい工夫や設備(91%)の両タイプ。ついで、大型収納スペース78%、お風呂をくつろぎや健康空間に76%、子供世帯などが泊まれる部屋71%など
  • 住宅設計関心度:関心度が特に高いのは、バリアフリー、大型収納スペース、ホームセキュリティシステムの3項目で、上記住宅タイプと同結果
  • 両親との同居:同居派31%、別居派32%、未定派16%、親はいない21%
  • 資産相続:既相続者・相続予定者47%、非相続(予定)者42%
  • 子供との同居:同居派42%、別居派17%、未定派36%、子供はいない5%

E.住宅性能表示制度について

  • 認知度:名称認知者57%、内、内容認知者29%(ともに03年調査と同水準)
  • 利用意向:利用意向者42%(03年調査よりも5ポイント増加)、非利用意向者9%(同1ポイント減少)、わからない49%(同4ポイント減)